美味しいらっきょう酢だから、余すことなく活用したい

お酢を知ろう

ラッキョウの甘酢漬け。唐辛子の輪切りでピリリと辛く、シャキッと漬かって箸が止まらない

スーパーや産直売り場に生らっきょうが並び、「今年も仕込むぞ」とわくわくする季節がやってきました。毎年欠かすことなく漬けている方も、そうでない方も、楽しい自家製らっきょう漬けに挑戦しませんか?

とば屋酢店では、簡単に漬けられるらっきょう酢を販売しております。5月に入って、オンラインショップ・お電話で、らっきょう酢のご注文が増えてきました。嬉しいです。漬ける際は、らっきょう酢の漬け方レシピをどうぞご覧ください。写真付きで分かりやすく、作り方を解説しています。

さて、この記事では、らっきょう酢漬けを最後まで最大限楽しむために、栄養成分やアレンジ料理・らっきょう漬け液を再利用する方法まで、深く掘り下げたいと思います!

らっきょう酢とは?普通のお酢と何が違うの?

らっきょう酢は、らっきょうを漬ける調味酢で、一般に甘酢を使います。甘酢とは、酢に砂糖・塩を混ぜ合わせたシンプルな合わせ調味料です。甘酢といえば、すし酢がもっとも身近だと思います。

とば屋のすし酢らっきょう酢の原材料を比べてみましょう。

カテゴリらっきょう酢すし酢
名称らっきょう酢調味酢
原材料名米酢(国内製造)、糖類(砂糖・ブドウ糖果糖液糖)、食塩、味醂、しょうゆ/調味料(アミノ酸等)、(一部に大豆、小麦を含む)米酢(国内製造)、糖類(砂糖・ブドウ糖果糖液糖)、食塩、味醂、しょうゆ/調味料(アミノ酸等)、(一部に大豆、小麦を含む)
賞味期限製造より1年製造より1年
保存方法直射日光を避け、常温で保存してください。直射日光を避け、常温で保存してください。

まったく同じですね。改めてみて、自分でもビックリしました。次は、栄養成分表示を並べてみましょう。

100gあたりの栄養成分表示らっきょう酢すし酢
アレルゲン小麦、大豆小麦、大豆
エネルギー(kcal)120kcal181kcal
タンパク質(g)0.1g0.2g
脂質(g)0g0g
炭水化物(g)28.8g43.4g
食塩相当量(g)4.1g6.4g

栄養成分表示を比較すると、すし酢の方が、糖質も塩分も多いことがわかります。らっきょう酢は、すし酢と同じ甘酢ベースの調味酢ですが、すし酢よりも酢の割合が多く、酸っぱいという点が特徴です。

最もポピュラーな甘酢漬けが好まれる理由

甘酢漬けが好まれる理由は、何より美味しいからです。特徴的な匂いもありますし、好き嫌いの分かれる食べものなので、食べたことがないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、好きな方は「食べ始めるとやめられない」と何粒もパリパリ食べてしまいます。そして、食べ過ぎちゃったけどどうしよう…と別の悩みを持ち始めるくらいなのです。

ちなみに、国による基準はありませんが、一般的にらっきょう漬けの一日の摂取量は4粒程度と言われています。刺激の多い食べ物なので、体質によってはお腹を壊すことがあります。また砂糖や塩を使っているので、塩分糖分の摂り過ぎになる可能性があります。食べ過ぎには気をつけましょう。

もう一つ、甘酢漬けの重要な要素は保存性の高さにあります。お酢と塩は、どちらも抗菌力があり、保存性が高まる組み合わせです。生のらっきょうは3日程度しか日持ちしません。これを適切に漬け込むことで常温で1年間持たせることができるのです。すごいですね。先人の知恵です。

らっきょうの漬け方には、甘酢漬けだけでなく、乳酸発酵させる「本漬け」、地域によっては「塩漬け」「赤ワイン漬け」「しそ漬け」「りんご酢漬け」「黒砂糖漬け」「黒酢漬け」「たまり漬け」「味噌漬け」などがあります。それぞれの良さがあるので、好みで漬物を楽しんでいただくのが良いと思います。(※参考:うちの郷土料理|農林水産省

かんたん♪「らっきょう酢」を使えば失敗しらず

とば屋が調味したらっきょう酢であれば、美味しいらっきょうの甘酢漬けが簡単に作れます。壺仕込みの静置発酵で造ったホンモノの米酢を使っているため、風味豊かでシャキッと美味しく漬かります。

らっきょう酢は伝統的な漬物

らっきょうはネギの仲間です。原産地は中国で、紀元前から栽培されており、日本へは平安時代に渡来したそうです。主に、薬用として利用されていた記録が残っています。同じネギの仲間の中では、小さくて食べやすく、臭いが弱く、独特の歯ごたえがあることから、漬物に利用されてきました。

らっきょうと言えば鳥取県が有名ですが、栽培適地は広く、現在でも日本全国で栽培されています。祖父母から自家製らっきょう漬けのレシピを教わったという方も多くいらっしゃることでしょう。日本人にとって、とても身近な漬物で、多くの人を虜にしてきたのです。

ちなみに、とば屋酢店のある福井県では、らっきょうのことを「らっきょ」と呼んでいます。明治時代から栽培が始まり、戦前には日本一の収穫量を誇りました。今は、福井県坂井市三国町にある三里浜の砂地で栽培されています。全国でも唯一の「三年子栽培」で、通常のらっきょうに比べて、小粒で繊維が細かく、身がしまり歯切れのよい食感です。

【参考文献】
三里浜特産農業協働組合
地域資源活用『食品加工総覧』第10巻|農文協

らっきょうの栄養成分

生のらっきょうの栄養素を見てみましょう!日本食品標準成分表2020年版(八訂)より、生のらっきょう100g(約20粒程度)に含まれる主な栄養素をまとめました。

生らっきょうに含まれる主な栄養素100g中
エネルギー83kcal
糖質※8.6g
カリウム230mg
ビタミンB10.07mg
ビタミンB20.05mg
ビタミンC23mg
ビタミンB60.12mg
食物繊維20.7g
※炭水化物から食物繊維を差し引いた量を、食品表示基準上の「糖質」として計算しています

特筆すべきは食物繊維含有量

実は、日本食品標準成分表2020年版(八訂)に掲載されているすべての野菜の中で、もっとも食物繊維量が多いのがらっきょうです。そのうち、水溶性食物繊維が18.6g、不溶性食物繊維が2.1gです。らっきょうには、水溶性食物繊維「フルクタン」が多く含まれています。フルクタンは、コレステロール値を下げたり、腸内環境を整えてくれると考えられています。

らっきょうの臭い成分「硫化アリル(アリシン)」

ネギの仲間に特徴的な独特の臭い成分「流化アリル」は、ビタミンB1の吸収を助け、血液をサラサラにしてくれます。また、疲労回復や滋養強壮などに効果があると言われています。らっきょう漬けは、カレーの付け合わせの定番です。ビタミンB1を豊富に含んでいる豚肉を使ったカレーに合わせると、相性抜群です。

さらに、カリウム・ビタミンCの量も非常に多いのも特徴です。栄養たっぷりのらっきょうですが、これらの成分は、冷たい水にも溶けやすいため、甘酢漬けの漬け汁に溶け出してしまいます。ぜひ、漬け汁まで活用したいものです。(※参考:東北農政局「食育ブログ」

Q. 古いらっきょう漬けの液を次のらっきょう漬けに再利用してもいいですか?

A. らっきょう漬けの液には、素材の水分が出てしまっているため、塩や砂糖、酢の調合が変わっています。つまり、味が変わっています。また、酸度が下がって保存性が低くなっているため、長期保存用漬物への再利用はやめておきましょう。

らっきょう漬け液の再利用に

浅漬けやピクルスといった、短時間の風味付け程度の漬物づくりに再利用するのがおすすめです。セロリやニンジン、キュウリ、大根、玉ねぎなど、季節の野菜やお料理で残った野菜を切って漬けておけば、一時間程度で食べられます。

また、残り汁は、らっきょうの栄養成分がたっぷり入った甘酢なので、合わせ調味料として料理の下味に使ったり、オリーブオイルと混ぜてドレッシングにしたり、お肉のソースにしたり。幅広くアレンジできます。

Q. らっきょうの甘酢漬けを作りすぎてしまったら?

A. カレーの付け合わせにしたり、そのまま食べるのがスタンダードですが、同じ食べ方に飽きてしまったら、別のお料理にアレンジしましょう。

  • 細かく刻んでチャーハンに
  • 刻んでマヨネーズに混ぜてポテトサラダに
  • 玉ネギの代わりに入れて、アジの南蛮漬けに

玉ねぎみたいなものなので、刻んでしまえば色々使えますよ!

Q. らっきょう酢が余ってしまった。他に使い道はありますか?

A. あります。らっきょう酢は甘酢なので、酢の物やお寿司にしたり、甘酢炒めに使ったり、中華料理であれば甘酢あんにして、肉団子やかに玉、魚のソテーにかけてみましょう。甘酢にしては、お酢要素が強く、酸っぱいので、お料理に合わせて砂糖を追加したり、お醤油で塩分を追加したりして、味の塩梅をみてくださいね。

味の調整が難しいという方は、夏野菜のピクルスづくりに使うのがおすすめです。パプリカ・トマト・ズッキーニなど、カラフルな野菜を瓶詰めすれば、可愛いくておしゃれで、見るだけで元気が出てきます♪

中野 貴之

中野 貴之

酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目

「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。

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