お酢を料理に使うと減塩できるって本当?お酢の減塩効果と調味料としてのお酢の働きについて

お酢を知ろう

餃子につけるお醬油も、半分はお酢にしてみて

お酢を料理に使うと減塩できます。本当です。しかし、お酢そのものに、塩分を取り除くような効果はありません。いつも使っている塩分入りの調味料をお酢に置き換えることで、間接的に減塩をすることができます

お酢を代わりに入れたら酸っぱい味になって、味が変わってしまうのでは?

お酢に置き換えると、塩味が薄まって、物足りなく感じそう…

いいえ。お酢は、塩味を引き立たせる働きがあり、むしろ美味しくなるのが不思議なところです。この記事では、減塩とお酢をテーマに、減塩食におけるお酢の働きを分かりやすく解説します。

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なぜ減塩が必要なのか?

塩分のとりすぎによる健康リスクを下げるために、減塩が推奨されています。健康リスクには、高血圧、動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全、心不全などがあげられます。国立循環器病研究センターのWEBサイトに、食塩と高血圧の関係が詳しく説明されていたので、分かりやすく図解します。

塩分をとりすぎると、血液中にナトリウムがいっぱい取り込まれます。ナトリウムが濃いとバランスがわるいので、血液を水で薄めようとします。そして、のどが渇いて水を飲む。血液中にも、水分が取り込まれます。

塩分の多い食事をとると、血管中にナトリウムイオンが大量に入り、水も取り込まれて血液量が増加し、血圧が上昇する様子を表した模式図

その結果、血管の中は、正常時より多いナトリウムと水分がぎゅうぎゅう詰めの状態に。血圧が高い、すなわち、高血圧状態になります。血管は体中に広がっているため、高血圧状態が続くと全身に影響を与える可能性があります。

狭い血管の中をたくさんのモノが通り続けると、血管の壁に傷が付いたり、傷ついた血管を修復しようとしたり、血栓が出来たりするリスクがあります。また、血液を送り出すポンプの働きをする心臓や、ナトリウム・水分(尿)を体外へ排出する働きをする腎臓を酷使することになり、機能低下、または機能不全を起こす可能性があります。

このように、塩分の過剰摂取は、さまざまな症状を引き起こすリスクがあります。リスクを回避し、健康状態を維持するには、減塩食が鍵となるのです。

お酢を料理に使うことで得られる減塩効果

記事の冒頭にも書いたように、お酢そのものに、塩分を取り除くような効果はありません。しかし、お酢は、製造にあたって食塩を全く使わない調味料であるため、普段使っている醤油やソースなどの塩分入り調味料をお酢に置き換えるだけで、塩分摂取量を減らすことができるのです。

13代目

三杯酢やすし酢などの調味酢は、味をととのえるために塩分を使っています。減塩したい時は、純米酢のような醸造酢を使いましょう

Q. お酢を代わりに入れたら酸っぱい味になって、味が変わってしまうのでは?

酢を入れすぎると酸っぱくなってしまうので、味が変わらない程度に抑えるのがポイント。隠し味程度に入れるのがおすすめです。塩辛くて舌がピリピリする感じを塩カド、酸のツーンとした感じを酢カドと言ったりしますが、酸と塩がうまく釣り合って両方のカドが取れると、まろやかになります。

お酢の酸味と食塩の塩味の相互作用について、人は昔から経験的に知っています。その象徴的なものが「よい塩梅」という言葉。「よい塩梅」は、塩と酢(梅酢)を良い配合で調味すると、しょっぱ過ぎず、酸っぱすぎず、まろやかな味となり、バランスがよくなることからきています。

まず、普段使っている調味料の半分〜1/3程度をお酢に置き換えて、味をみてください。

Q. お酢に置き換えると、塩味が薄まって、物足りなく感じそう…

実は、お酢には塩味を引き立たせる働きがあります。アカデミックな世界では、塩味の増強作用と表現されますが、ざっくり説明すると塩分だけを使った食塩水より、ほんの少しお酢を追加した食塩水の方が、使用している塩分が少なくても塩気を感じることができるのです。

【参考文献】日本調理科学会誌 ー坂本 真里子ほか(2009年)

これは、塩味が分かるか分からないかのギリギリの薄さ(閾値)であっても生じるので、塩分使用量をいつもより減らしても、お酢をほんの少し追加すれば、いつもと同じように塩味を感じることができます。

13代目

お酢の酸味をほぼ感じない程度の薄さでも塩味の増強作用が生じます。お酢を少し入れるだけでOKです!

調味料としてお酢を活用して、健康的な減塩食生活をはじめよう

厚生労働省が推奨している日本人(成人)の1日の食塩摂取量は、男性が7.5g/日未満、女性が6.5g/日未満とされています。(引用元:ナトリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省))

しかし、減塩の必要性は理解しつつも、ただ減塩した食事では「物足りない」「口寂しい」と感じますし、おいしくなければ食欲がわかない方もいらっしゃるでしょう。

この記事でお伝えしてきた酸味と塩味の関係をもとに、調味料としてお酢を活用すれば、減塩の食事をおいしく感じられ、塩分を減らした食事に徐々に慣れていくことができます。

また、アミノ酸がたっぷり入った純米醸造酢を使えば、お酢の原料由来のうま味成分も追加されて、複雑で深みのある味に仕上がります。減塩できて、美味しくなる。一石二鳥ですね!

お酢は日本人にとって身近な調味料です。お酢の力を使って、健康的な減塩食生活をはじめませんか。

中野 貴之

中野 貴之

酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目

「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。

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