自家製果実酢・酢漬けのためのガラス瓶の準備・熱湯消毒の手順

お酢を知ろう

酢漬けのためのガラス瓶の準備・煮沸消毒の手順

保存瓶の消毒は、自家製果実酢やピクルス・酢漬け作りの最初のステップとして欠かせません。とくに、家庭で長期保存をする場合には、しっかりと消毒することでカビや腐敗のリスクを軽減することができます。この記事では、保存瓶の準備に関わる疑問にお答えします。

保存瓶の選び方

保存瓶のサイズ選びは、作りたい量によって変わります。初心者の方には、500ml程度の保存瓶を使用することをおすすめします。その理由は2つ。一つは鍋に入るサイズであるため、煮沸消毒しやすいこと。もう一つは、500ml程度で作ると「ちょうど使い切りやすい量」になるからです。

愛用している485mlの保存瓶。壺之酢900mlと比べると半分くらいの大きさ

ご家庭で保存食づくりを始めるときは、まず少量から始めてみてください。大量に作りすぎて食べきれなくなってしまい、手間暇かけた保存食が無駄になってしまうのは一番悲しいです。食べきれる量を、楽しみながらつくることが大切です。そして、その味を気に入り、もっと食べたい、毎日食べたいと思えたら、次は800mlくらいのワンサイズ大きい保存瓶に挑戦してください。

1000mlを越えるサイズの保存瓶は、消毒作業が大変です。大きな鍋が必要になりますし、冷蔵庫で保管するにも場所を取ります。ご家庭での取り扱いやすさを考えると、500mlの瓶を複数個用意する方が効率的です。

保存瓶の材質については、ガラスでもプラスチックでも問題ありません。同じように煮沸して消毒できます。ただし、容器本体だけでなく、フタも含めて、耐熱温度を確認しておくことが重要です。

保存瓶の煮沸消毒の手順

【1】瓶が入る大きさの鍋を用意します。瓶は先にきれいに洗っておきます。鍋底にふきんを敷いて、瓶が割れるのを防ぎます。

【2】瓶が完全に浸るくらいの水を入れて、沸騰させます。火をつける前に、鍋に瓶を入れます。ガラス瓶は急激な温度変化に弱いので、水の状態から緩やかに加熱していきます。

【3】沸騰したら弱火にして、5分程度煮沸します。フタも忘れずに鍋に入れます。

【4】トングや菜箸で取り出します。箸を中に入れてグイっとやると、お湯が流れて良い感じになります。やけどしないように注意して取り出しましょう。

【5】逆さまにして自然乾燥させたら完了です

煮沸消毒後は、すぐに使用することをおすすめします。数日放置してしまうと、再び瓶内に微生物が入り込む可能性があり、消毒の意味がなくなってしまいます。また、煮沸消毒した後は、ガラス容器の内側やふたの内側を、手やふきんで触らないようにしましょう。

Q. 煮沸消毒の時間はどれくらい?

煮沸消毒の時間は、厚生労働省や都道府県によってさまざまな目安時間が推奨されています。(※参考:生の野菜や果物を安全でおいしく食べるために|農林水産省

具体的には、次のような条件です。

  • 100℃  30秒間 
  • 90℃以上  5分間以上
  • 80℃  5分間以上
  • 75℃以上  15分間以上 
  • 沸騰してから5分間以上

この記事では、沸騰してから5分程度の煮沸消毒を推奨しています。これは、調理器具の煮沸消毒の目安として一般的に推奨されている時間です。

【参考文献】
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
食品衛生だより~調理器具等の洗浄殺菌方法~

Q. 鍋に入らない大瓶の消毒はどうするの?

煮沸消毒ができないような大きい保存瓶を消毒する場合は、消毒用エタノールを使用します。先ずよく洗剤を使って洗浄し、水道水で水洗いしてください。よく水を切ってから70%~80%エタノールを吹きかけて、ペーパータオルで拭きとります。熱湯消毒という沸騰したお湯を10秒以上かける方法もありますが、手軽にできる分、煮沸消毒に比べると殺菌効果は薄れてしまいます。

Q. 酢酸は抗菌力が強いのに、酢漬け保存瓶の熱湯消毒が必要なのはなぜですか?

お酢の主成分である酢酸は、強い抗菌力をもっています。酢酸の濃度が高いほど、また、pHが低いほど、抗菌力は強くなります。一般的な食酢はpHが1.8~3.8程度であり、酢酸酸度が1%以上あれば食中毒菌など病原微生物は増殖できません。(※参考:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書

しかし、食中毒を引き起こすわけではありませんが、酸性環境下でも生育可能な野生の酢酸菌や酵母菌、カビなどの微生物が増殖することがあります。これらの微生物の増殖によって、酢自体が白く濁ったり、酢の液面から飛び出た食材がカビたりする原因となります。

風味や品質を保つためにも、自家製果実酢・酢漬けを作る際には、必ず保存瓶の消毒を行ってください。

中野 貴之

中野 貴之

酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目

「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。

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