子どもがお酢を食べやすくなる!ツンとした酸味をやわらげマイルドにする7つの方法

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子どもがお酢を食べやすくなる!ツンとした酸味をやわらげマイルドにする7つの方法

お酢は体にいい調味料ですが、味覚が敏感な子どもにとっては、酸っぱくて苦手に感じることも多いですね。そんなときは、ちょっとした工夫で「ツン」とした酸味をやわらげ、食べやすくすることができます。この記事では、お酢の酸味をマイルドにする7つの方法をご紹介します。お子さまの食事にお酢を取り入れたいときのヒントになれば幸いです。

尖った酸味の原因は「酢酸」 

鼻にツーンとくる刺激的な酸味は、お酢の主成分である酢酸によるものです。

私たちが日常的に口にする酸味には、さまざまな種類があり、それぞれ異なる有機酸によって、異なる味わいがもたらされています。

  • お酢のツンした刺激的な酸味 ⇒ 酢酸
  • 梅干しのキュッと目をつむるような酸味 ⇒ クエン酸
  • ヨーグルトの軽くて爽やかな酸味 ⇒ 乳酸
  • りんごのすっきりした酸味 ⇒ リンゴ酸
  • ワインに感じる渋みのある酸味 ⇒ 酒石酸

食酢には、さまざまな有機酸が微量ながら含まれています。そして、食酢の主成分である酢酸は、他の有機酸が少しでも含まれて混ざりあうと、酢酸のツンとした酸味が和らぐという特性をもっています。

そのため、お酢の酸味をマイルドにするには、酢酸の割合を相対的に減らすこと、または、他の味成分によって味のバランスを調整することが有効です。

【1】有機酸が豊富な純○○酢を使ってみよう

酸味を抑える最も基本的な方法は、使用するお酢自体を見直すことです。おすすめは、純米酢や純りんご酢などの「純○○酢」を使うこと。「純○○酢」は、特定の原材料だけで造られたお酢で、原材料由来の有機酸が豊富に含まれています。当店のお酢でいうと、純米醸造酢 壺之酢です。

一方、原材料表示ラベルに「アルコール」と記載されているものは、酢酸の量が比較的多く、酸味がシンプルで、かつ強く感じられます。まずは、使うお酢そのものを見直して、酸味がまろやかなものを選びましょう。

【2】加熱して、酢酸を揮発させる

お酢に含まれる「酢酸」は揮発しやすい成分です。加熱することで、酢酸のツンとした酸っぱさを飛ばすことができます。酢酸の沸点は118℃と水よりも高いので沸騰するわけではありませんが、弱火でじっくり加熱することで、徐々に酢酸は液表面から揮発して減少します。

ちなみに、醸造酢に含まれている他の有機酸(クエン酸、乳酸、コハク酸など)は、不揮発性であり、沸点も高いので加熱しても飛んでいきません。つまり、酢酸だけが空気中に飛んでいくため、相対的に、酢酸の割合を抑えられるのです。

フレンチの調理技法では、お酢を煮詰めてソースにする方法がよく用いられています。時間をかけて余分な酢酸を飛ばし、うまみが濃縮されたまろやかな仕上がりになります。

【3】甘味を加えて、酸味を抑える

甘味には酸味を抑える効果があります。これは「味の抑制効果」と呼ばれ、酸味が強めのドライフルーツに砂糖をまぶすことで、酸味がやわらげ食べやすくしている例など、私たちにとって身近な現象です。同じように、お酢を使った料理でも、少量の砂糖やみりんを加えることで、酸味がぐっと穏やかになります。特に子ども向け料理では、「甘酢あんかけ」など、酢と砂糖を同量で使用するレシピが多く見られます。

お子さまに少しずつ酸味に慣れてもらいたい場合は、砂糖の量を控えめに調整して、美味しさの中にほんのり酸味を感じる仕上がりを目指しましょう。

【4】塩味とプラスして、酸味を抑える

塩味にも、酸味をやわらげる働きがあります。塩辛くて舌がピリピリする刺激(塩カド)、酸のツーンとした感じ(酢カド)。酸と塩がうまく釣り合って両方のカドが取れると、まろやかでバランスの取れた味わいになります。これがいわゆる「よい塩梅」という状態です。

塩は、塩そのものに限らず、醤油や味噌でもOKです。また、塩味+甘味+酸味を組み合わせると「味の対比効果」によって甘さが引き立ち、酸味がより控えめに感じられます。子ども向けには「甘味+塩味+少量のお酢」の三つの味のバランスを意識するのがポイントです。

【5】油と混ぜて乳化させるとやさしい口あたりに

油分を加えて乳化させることで、酸味が感じにくくなります。これは、ドレッシングやマヨネーズの調理法として知られています。

乳化は、水と油のように本来混ざらないものを、均一に混ざり合わせる現象です。お酢が油膜に包まれることで、酸の刺激が舌に直接届きにくくなるため、口あたりがまろやかになります。

お酢にオリーブオイルやごま油と混ぜるのがお手軽ですが、ゴマやクルミ、ピーナッツなどの脂肪分の多いナッツをすり混ぜるのもおすすめです。ごま酢和え、ナッツ酢和えなどは、子どもにも親しみやすいレシピです。

【6】柑橘果汁と混ぜて、フルーティに

ゆず、すだち、シークヮーサーなどの柑橘果汁には、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸が豊富に含まれています。これらがお酢の酢酸と合わさることで、酸味が和らぎ、まろやかな味わいになります。さらに、柑橘の香りや自然な甘みが加わることで、お酢特有の刺激的な匂いも抑えてくれます。果実酢(くだもの酢漬けドリンク)が飲みやすいのも、こうしたフルーツ由来の成分のおかげです。

この原理を活かした調味料が「ポン酢」です。ただし、有機酸の総量は多くなるので、甘味や出汁で薄くして、味を調整するのがおすすめです。柑橘+酢はヨーグルトにかけても美味しくいただけます。

【7】うま味を足して、酸味を目立たなくする

酸味を目立たなくするためには、「うま味」を加えるのも効果的です。かつお・昆布だし、干ししいたけの戻し汁などの旨味成分は、お酢との相性も良く、和食でよく利用されています。

酸とうま味の間にも、味の抑制作用があると考えられています。最近の研究では、うま味が豊富な鰹だしを、酸味の強い溶液に少量ずつ加えると、酸味の刺激とツンと来るにおいが段階的に弱まり、味も香りも“まろやか”になることが確認されています。

酢味噌を出汁でのばしたり、酢の物に出汁を混ぜたりすることで、酸味が目立たなくなり、お子さまでも食べやすくなります。

【参考文献】鰹だし添加による酸味・酸臭抑制効果の検証

どの方法を採用したらいい?

最後に、「どの方法がうちの子に合うの?」と迷ったときの参考になるポイントをご紹介します。酸っぱさにはいろいろな種類があり、食べ慣れている酸味の方が美味しいと感じやすいのです。

そこで、お子さまにとって「美味しい酸味」を知ることがとても重要です。子どもが食べなれている酸味を、好きな食べ物・嫌いな食べ物で考えてみましょう。

食べ物酸味の種類おすすめのお酢
お寿司酢酸純米酢
ヨーグルト・チーズ乳酸乳酸の多いお酢
梅干し・レモンクエン酸ポン酢や柑橘酢
りんごジュースリンゴ酸純リンゴ酢
ぶどうジュース・レーズン酒石酸ワインビネガー

酢の味は、原材料や醸造方法によって大きく印象が変わります。「うちの子に合うお酢」を探すことが、食卓にお酢を取り入れる第一歩です。お寿司が好きなお子さまは純米酢がおすすめですし、りんごが好きなら純りんご酢が食べやすいと思います。

とば屋酢店のお酢は乳酸などの有機酸が比較的多いのが特徴ですので、ヨーグルトが好きなお子さまのお口に合いやすいと思います。まろやかで風味豊かな壺之酢をぜひ一度、お試しください。

お酢の力を、家族の健康に

子どもの「苦手」は、大人のちょっとした工夫で変わります。とば屋酢店では、300年以上の伝統を持つまろやかなお酢をお届けしています。お子さまの健康を願って、まずは今日の一品に「ひとさじ」から。ツンとしない、でも深みのある「お酢のある食卓」を一緒につくっていきましょう。

中野 貴之

中野 貴之

酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目

「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。

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